整形外科リハビリ

上肢疾患のリハビリテーション

 

主な上肢疾患
・上腕骨近位端骨折(上腕骨近位端骨折、上腕骨骨幹部骨折、上腕骨遠位部骨折)
・肘関節脱臼
・橈骨遠位端骨折(Colles骨折、Smith骨折、Barton骨折、Chauffeur骨折)
・手の骨折(手根骨骨折・脱臼、中手骨骨折、指骨骨折)
・腱損傷

 

これらの上肢疾患や手の外傷に対して、痛みや関節可動域、日常生活動作の改善ならびにuseful hand(有用な手、生活できる手)の獲得を目標にリハビリテーションを実施しています。
また、当院では手の用途に合わせた作業能力の獲得を目標にリハビリテーションを行い、下記レベルについての改善・回復を図ります。

 

1.身体機能レベル
・関節可動域
・筋力、握力
・腱滑動性
・知覚機能
・疼痛
・循環機能

 

2.作業能力レベル
・把持機能
・ADL(日常生活動作)遂行機能

 

3.社会的役割レベル
・職業復帰
・趣味・余暇
・社会活動への参加

 

上肢・手の外傷に対するリハビリテーションアプローチ
上記で説明したレベルの改善・回復に向けて、評価、治療介入が行われます。
ただし、患者様個々人により、社会的役割レベルは変化するため、患者様の希望に沿った退院生活が送れるよう、患者様に合った生活動作練習、生活指導も行います。
また、上肢疾患は入院期間が比較的短い上肢疾患であるため、患者様の痛みや全身状態に基づき、早期離床、適切な自主トレーニング指導を進めます。
また、早期退院後は当院の外来リハビリテーションにて退院後のフォローアップを行います。
※骨折部の状態や手術内容によって、手関節運動にしばらく制限がかかる場合もあります。

 

下肢疾患のリハビリテーション

 

主な下肢関節疾患
・股関節:大腿骨近位部骨折(頸部骨折、転子部骨折、転子下骨折)、大腿骨幹骨折、大腿骨顆上骨折、変形性股関節症
・膝関節:変形性膝関節、半月板損傷、靭帯損傷、膝蓋骨骨折
・足関節:足関節果部骨折(内果骨折、外果骨折)、踵骨骨折、アキレス腱断裂

 

これらの下肢関節疾患に対し、痛みや関節可動域、日常生活動作の改善や安定した歩行の獲得を目標にリハビリテーションを実施しています。
また、当院では下肢の状態に合わせながら保存療法や術後のリハビリテーションを実施しています。

 

1.保存療法のリハビリテーション
手術を選択せずに生活習慣の改善や運動、ストレッチ、姿勢の調整等を実施し症状の改善をめざしていきます。
主なリハビリテーションとして以下のものが挙げられます。
・有酸素運動、体重コントロール、姿勢調整(関節の負担軽減)
・関節可動域練習、ストレッチ(関節可動域拡大)
・筋力トレーニング(関節の安定性向上・指示機能の向上)
・日常生活動作指導、自主トレーニング指導(生活習慣の改善)

 

2.術後のリハビリテーション
医師と連携し下肢の状態に合わせたリハビリテーションを実施していきます。
手術方法や疾患によって過重スケジュールは異なりますが基本的には下記の流れでリハビリテーションが進んでいきます。

 

・完全免荷(手術した足が地面につけない状態)
術後早期である為、深部静脈血栓症・下肢の廃用を予防するために下肢関節の積極的な可動域練習や筋力トレーニングを実施していきます。
また、早期離床(術後翌日よりベッドから離れること)を行いますが免荷の状態での車椅子への乗り移りの練習や松葉杖を使用した歩行練習などを実施していきます。

 

・部分荷重(手術した足が体重の1/3や1/2程度地面につける状態)
この時期では部分的に下肢に荷重ができるので、痛みの確認をしながら立位や松葉杖などを使用し歩行の中で下肢に部分的に体重を乗せていく練習を実施していきます。
また、筋力トレーニング内容も徐々に立位で実施する量が増えていきます。

 

・全荷重(手術した足が制限なく地面につける状態)
この時期では部分荷重と同様に痛みを確認しながら立位練習や歩行練習を実施していきますが、徐々に杖を外した状態で動作が行える様に練習していきます。
練習内容も退院を想定した屋外歩行、階段昇降など応用的な活動が増えていきます。
また、下肢のリスク(脱臼、再断裂など)を考慮した動作方法・自主トレーニングの指導も実施していき退院を目指していきます。